便秘薬を使い過ぎると効果がなくなる!?
毎日のようにさまざまなメーカーから
発売されている便秘薬のコマーシャルがテレビで流されています。
有名タレントが起用されていることもあり、
便秘薬に対して身近で使いやすいイメージを抱いている人も多くいらっしゃることでしょう。
もちろん、便秘薬は簡単に、そして速やかに
便秘と便秘に伴う症状を解消してくれる薬であることには間違いありません。
しかし、便秘薬は
- 便秘を根本的に治す薬ではないこと>
- あまりにも安易に使ってしまうと大変なことになってしまう可能性もあるということ
などを念頭に置いて使ってほしいのです。
長い間便秘に悩んでいる人にとって便秘薬というものは
ドラッグストアなどで簡単に手に入り即効性も高いので、とても便利な薬です。
便秘解消のため一時的に便秘薬に頼ることは決して悪いことではありません。
しかし便秘薬を飲むと、あれだけ苦しかったおなかの張りや気持ち悪さから開放されるため、
もう1回…と使い続けてしまう場合もあるようです。
便意のメカニズム
そもそも排便のメカニズムは、食べたものが胃で消化され、消化物が小腸へ移動します。
小腸で栄養分を吸収し、その後大腸で水分が吸収され、カスが残ります。
そのカスが便となって大腸に溜まっていき、
一定量溜まると大腸の腸壁を刺激して蠕動運動と呼ばれる腸の波打つような運動が起こり、
便意をもよおすのです。
便秘薬の危険性
便秘薬は、大腸で行われる蠕動運動を強制的に促す薬です。
つまり、食べカスの刺激で蠕動運動が起きるのではなく、
便秘薬の作用で運動が起きているので、腸は働かなくてもよい状態になってしまうのです。
腸は筋肉でできているため、蠕動運動を便秘薬で起こし続けていると、
筋肉が衰えて自律的な運動を起こすことが出来なくなり、
腸が自ら便を排泄しようとする本来の機能が弱くなってしまいます。
蠕動運動が起きないため、便秘が続き、便秘が続くから便秘薬を飲み、
その結果ますます腸の機能は低下し、便秘は改善しないという悪循環が起きるのです。
腸は、便秘薬で刺激してしまうと、その刺激をどんどん強くしていかないと反応しなくなり、
便秘薬の量をふやしたり、違う便秘薬に変えたりなどの対応を余儀なくされます。
こうして、
大量の便秘薬が必要になったり、便秘薬が手放せない状態
になってしまうのです。
また、便秘薬を飲むことで起こる強制的な下痢は、腸内細菌をすべて排泄してしまうため、
悪玉菌とともに善玉菌も排出されてしまい、腸内が荒れて、免疫力も低下してしまいます。
それから、便秘薬を継続的に飲み続けると、「大腸黒皮症(大腸メラノーシス)」という、
大腸の粘膜が黒く着色する症状が生じる可能性があります。
これは、腸壁が真っ黒になり、腸管の神経もダメージを受け、
大腸がのびたゴムのようになり、腸の機能が著しく低下するというものです。
便秘薬の乱用は、腸の状態を悪化させるだけではありません。
体に必要なミネラルが必要以上に排出されてしまうという問題も発生します。
ミネラル分に含まれるナトリウムが失われてしまうと体はそれを貯めこもうとします。
その結果、水も一緒に貯めこむこととなり、体がむくんでしまうのです。
さらに、便秘薬の乱用によりカリウムが排出されてしまうと、
筋肉の働きが悪くなり、全身がだるくなります。
それだけでなく、心臓へ負担がかかり、動悸や不整脈を引き起こします。
便秘薬の乱用は全身に悪影響を及ぼし、ここまでくると便秘という問題を通り越して、
もはや完全に病気です。
簡単に手に入ってしまう便秘薬ですが、便秘薬といえども薬であるという認識のもとに、
自己判断で使用するのではなく、医師に相談してから使用する方がよいでしょう。
また、症状を改善できるのは薬だけではありません。
薬に頼らなくとも便秘を解消できる方法もたくさんあります。
効き目はマイルドかもしれませんが、
自分の体質から改善するのが、真の治療なのではないでしょうか?